BtoBのリスティング広告運用|CPAを30%下げた絞り込み戦略
BtoBのリスティング広告運用を、CPAを30%下げた絞り込み戦略とあわせて解説。ニッチな業種に向けたキーワード設計や、BtoB特有の長い検討期間を踏まえた運用の進め方を実例で紹介します。BtoB商材の広告に取り組む方向けのガイドです。
公開: 2026年6月19日 最終更新: 2026年6月20日
この記事でわかること
BtoB(法人向け)のリスティング広告は、検討期間が長く、意思決定者が複数いるという特性があります。CPA(顧客獲得単価)を下げる鍵は、漠然とした語句ではなく、具体的なニーズを示す検索語句への絞り込みです。さらにCVポイントを増やし配信面を広げる工夫も効きます。この記事では、CPAを初期目標比30%下げた絞り込み戦略と運用の進め方を解説します。
BtoBのリスティング広告運用の特徴
BtoBのリスティング広告は、個人向け(BtoC)の広告と同じ感覚で運用するとうまくいきません。まず、BtoBならではの特徴を押さえることが出発点になります。広告運用全般の基礎は、「リスティング広告の運用方法」記事で解説しています。
BtoCとの違い(検討期間の長さ・意思決定者の複数性)
BtoBがBtoCと大きく違う点は、主に2つあります。
ひとつは、検討期間が長いことです。法人の購買は、思いつきで即決とはいきません。社内で検討し、比較し、稟議を通して..と、問い合わせから受注まで数か月かかることも珍しくありません。広告をクリックしたその場で成果(受注)につながることは少なく、「まず問い合わせ・相談」という手前の段階を踏むのが一般的です。
もうひとつは、意思決定者が複数いることです。BtoCは本人が決めますが、BtoBでは担当者・上長・決裁者など、複数の人が関わります。最初に接触する担当者は「情報を集める人」で、最終的に決める人は別、というケースも多くあります。
この2つの特徴から、BtoBの広告は「その場で売る」より「検討の入口をつくり、確度の高い相手とつながる」発想で設計する必要があります。
BtoBで成果を出すための前提
BtoBで成果を出すための前提は、「件数より確度」です。BtoBは1件あたりの取引額(受注単価)が大きい一方、対象となる法人の数は限られます。やみくもに問い合わせ件数を増やすより、受注につながる確度の高いリードを、いかに効率よく獲得するかが勝負になります。
そのため、後述するように「ターゲットを絞り込む」「検討の入口を用意する」といった工夫が、BtoBでは特に効いてきます。
CPAを下げるBtoBリスティング広告の絞り込み戦略
BtoBでCPAを下げる最大の鍵は、「絞り込み」です。ここでは、その具体的な進め方を解説します。
ニッチな業種・ターゲットへの絞り込み
BtoBでは、ターゲットがニッチ(限られている)なことが多く、漠然とした語句で広告を出すと、関係の薄いクリックに予算を奪われてしまいます。そこで、具体的なニーズを示す検索語句に絞り込むことが効果的です。
たとえば、外国人雇用に関する法人向けサービスを扱った案件では、当初、対象が極めてニッチかつ高単価で、検索ボリュームも少なく、配信が安定しないという課題がありました。問い合わせ単価(CPA)も高騰しやすい状況です。
そこで、単に「就労ビザ」といった広い語句ではなく、「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など、具体的な法人ニーズを示す検索語句に絞り込み、予算の無駄遣いを徹底的に排除しました。検索する語句が具体的であるほど、その人のニーズも明確で、確度の高い相手に届きやすくなります。
検索意図の精度を高めるKW設計
絞り込みと表裏一体なのが、検索意図の精度を高めるキーワード設計です。同じテーマでも、検索する言葉によって相手の状況は大きく違います。
・情報を集めている段階の語句(「〜とは」「〜 比較」)
・具体的に検討している段階の語句(具体的な制度名・サービス名・課題名)
BtoBでは、検討段階に応じて語句を見極め、確度の高い段階の語句を中心に予算を配分します。ニッチなBtoBほど、この「言葉の選び方」が成果を左右します。
無駄なクリックを抑える除外設定
絞り込みを徹底するうえで欠かせないのが、除外キーワードの設定です。除外キーワードとは、「この語句で検索された場合は広告を出さない」と指定する設定のことです。
意図とずれた検索や、確度の低い語句(情報収集だけの語句、無関係な業種の語句など)を除外しておくと、限られた予算を本当に届けたい相手へ集中できます。配信後は「実際にどんな語句で広告が表示されたか」を定期的に確認し、成果につながらない語句を除外に追加していく。この地道な作業が、CPAをじわじわ下げていきます。
BtoBリスティング広告の運用の進め方
絞り込みの方針が決まったら、実際の運用に落とし込みます。BtoB特有のポイントを4つに分けて解説します。
広告文・LPの設計
広告文とLP(リンク先ページ)は、BtoBの検討者に「ここなら相談できそう」と思ってもらえる設計にします。煽るのではなく、提供できる内容・対応範囲・実績などを事実ベースで具体的に伝えることが、確度の高い相手の信頼につながります。広告文で打ち出した内容とLPのファーストビューを一致させ、期待と実際のズレをなくすのも基本です。
CVポイントの設計(ミドルファネル施策)
BtoBで効果が大きいのが、CVポイント(成果地点)を増やすことです。検討期間が長いBtoBでは、「いきなり問い合わせ」はハードルが高く、取りこぼしが生じます。
先述の外国人雇用サービスの案件では、それまで「無料問い合わせ」だけだったCVポイントに、「無料オンライン相談」を追加しました。資料請求や問い合わせだけでなく、「担当者にわからないことを相談できる場所」を用意したのです。これは、検討の途中段階にいる相手を受け止める「ミドルファネル施策」にあたります。いきなりの問い合わせには進めない相手でも、「まず相談」なら一歩を踏み出せる。この入口を増やすことで、確度を保ちながらCV(成果)を取りこぼさない設計になります。
配信ボリューム確保のためのP-MAX横展開
ニッチなBtoBでは、リスティング広告だけだと検索数が限られ、配信ボリュームが出ないことがあります。この案件でも、リスティングのみでは配信量が足りないという課題がありました。
そこで、Google広告の「P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)」を併用し、検索だけでなくディスプレイなど複数の配信面にも広げました。P-MAXは複数の面にまたがって配信できる分、確度の低いユーザーにも表示が出ますが、前述の「無料オンライン相談」というCVポイントを用意していたことで、そうした層からも一定の成果(CV)が発生しました。配信面を広げる施策と、受け皿となるCVポイントの設計はセットで考えるのがポイントです。
配信開始後の数値確認と改善
配信後は、CPAや各CVポイントの成果を見ながら調整します。BtoBでは特に、問い合わせ・相談の「件数」だけでなく、そこから商談・受注につながったかという「その先」まで追うことが重要です。件数が取れていても受注につながらなければ意味がありません。確度の高い語句・訴求に寄せ、合わないものを見直すサイクルを回します。
BtoBリスティング広告の費用対効果の考え方
BtoBの広告では、費用対効果の「見方」もBtoCとは少し異なります。
BtoBならではの費用対効果の見方(LTV・受注単価を基点に)
BtoBは1件あたりの受注単価が大きく、取引が長く続くことも多いため、目先のCPAの高さだけで判断すると本質を見誤ります。重要なのは、LTV(顧客生涯価値)や受注単価を基点に費用対効果を捉えることです。
たとえば、1件の獲得単価(CPA)が高く見えても、その先の受注単価が大きく、取引が継続するなら、トータルでは十分に見合う。というケースはBtoBでよくあります。逆に、安く獲得できても受注につながらなければ意味がありません。「獲得単価」と「その先の受注・LTV」を必ずセットで見ることが、BtoBの費用対効果を正しく判断するコツです。
費用対効果の指標(ROAS・CPA・LTV)の基本的な考え方は、「広告の費用対効果とは」記事で詳しく解説しています。
BtoBリスティング広告の運用事例
ここでは、実際にBtoBのリスティング広告でCPAを改善した事例を紹介します。
外国就労ビザ案件でCPAを初期目標比30%削減した事例
外国人雇用を検討する法人という、極めてニッチかつ高単価なターゲットを対象とした案件です。検索ボリュームが少なく配信が安定しないうえ、問い合わせ単価(CPA)が高騰しやすく、費用対効果の改善が急務という状況でした。
そこで、本記事で解説してきた施策を組み合わせました。まず、「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など、具体的な法人ニーズを示す検索語句へ絞り込み、予算の無駄遣いを排除。次に、CVポイントに無料オンライン相談を追加し、検討途中の相手を受け止めるミドルファネルを用意。さらに、配信ボリュームを確保するためP-MAXを併用しました。
高確度のリードに絞り込んだ結果、問い合わせにつながるリード獲得単価(CPA)を初期目標の30%削減できました。加えて、無料相談というミドルファネル施策から獲得したリードが、最終的な成約にもつながりました。
「絞り込みで確度を上げる」「CVポイントを増やして取りこぼさない」「配信面を広げて量も確保する」。この3つを噛み合わせたことが、ニッチなBtoBでのCPA改善につながった事例です。同様の事例は、「広告運用の事例5選」記事でもご紹介しています。 また、別業種の運用事例として、「クリニックの広告運用」記事もあわせてご覧ください。
自社で運用が難しい場合の選択肢
ここまで、BtoBのリスティング広告を自社で運用する進め方を解説してきました。一方で、「絞り込みやCVポイントの設計、日々の数値確認まで手が回らない」「BtoB特有の運用に不安がある」という場合もあるかと思います。
そうした場合の選択肢のひとつが、運用代行です。運用代行とは、キーワードの絞り込みから日々の数値確認・改善までを専門の担当者に任せる進め方です。特にBtoBは、ニッチな絞り込みや検討段階に応じた設計など、専門性が成果を左右しやすい領域です。社内のリソースを本業に充てながら、運用の質を保てるのがメリットになります。BtoBの広告運用について相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください。